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ブログには少し抵抗を感じるのは年齢的なものでしょうか。日記は今でも秘密にしておきたいのです。
日頃の思いや つぶやき、グチなどを詩という形にしてみました。 

時々入れ替えもしますので時間があれば覗いてみてください。

春のうた

冬のなごりの風が吹く
街角の店先でみつけた
マーガレットの花束
 

クリーム色の花瓶に入れる
陽光がカーテンを通して
そこはもう春
思い思いのさまを見せて
楚々として咲く姿は
ビバルディを口ずさむ乙女達


新しい人生の一歩
始まりの季節
ときめきを花に寄せ
春をハミング

出合いもん

京ことば
おばんざいは
気取らないお惣菜

今が旬の
たけのことわかめ
さっと炊いて若竹煮
山の幸と海の幸との
出合いもん
全く違う食材が
互いに引き出す味の妙


相性のいいのは
あなたとわたし
偶然出会って数十年
これもきっと出合いもん
年金暮らしも目と鼻の先
すっかり板についた
おばんざいの味

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  詩 集  

夏祭り

藍地に白の花模様

久し振りに

浴衣に手を通す

素肌に木綿の感触がいい

きりっと結ぶ

博多献上は
            
母の形見の白地に独鈷



気分も少し華やいで

うちわ片手に歩く路地

コンチキチン
        
遠く聞こえる祇園囃子

時折り吹く宵の風

ひんやり

袖を通り抜ける

ほんの少し

生活の歩みをゆるめてみると

違った景色が見えてくる

 

都会の梅雨

雨宿りに立ち寄った喫茶室
三階の窓辺
一枚ガラスに雫が流れる
絶え間なく流れ落ちる


ビルに削られた四角い空は
覆いかぶさる鉛色
雨はコンクリートの街を濡らす
人の行き交う路上には
色とりどりの傘が咲く
防音ガラスに遮られた喧騒
都会の雨に
小さな風情を探す


コーヒーの香りが
こころ和ませるひと時
ああ
今年も半ば過ぎていく

ひとがた流し

6月30日
夜のとばりが下りる頃
高瀬川の畔に
半年の罪や穢れを
水に流そうと集ってくる
老若男女


笙やひちりきが
雅に奏でられる中
罪を託された紙人形
ひとがたが扇子の舟に乗る
ぼんぼりに照らされた水面を
ゆらり ゆらり
流れに身を任す


半年間の罪を流し去り
ひとは
明日から新たな罪を着る
残り半分は
大晦日
除夜の鐘に託すのだろうか
無限の時の流れに

昼の花火

夏の風物詩
花火が夜空を彩る
一瞬のうちに大輪を咲かせ
一瞬のうちに散る
毎年この時期
花火は友へのレクイエム


ジュンコ
トッコと呼び合って
机を並べた中学時代
共に目指した高校は
男子系都立の進学コース
なぜか二人とも不合格
仕方なく別々に進んだ
私立の女子校


これが順子との別れ道
彼女は翌年
再び受験
念願の志望校に編入
事情が許さなかった私
平凡な女子高二年生

夏休みに起こった悲劇は
順子を永遠に私から奪った
雪ヶ谷の花火工場爆発
アルバイト学生をを含む全員死亡
順子の名を
学校名を報道するニュース
唖然と耳を疑う
一瞬に
昼の花火と共に消えた友
声をあげて泣いた
涙が枯れるほど泣いた
どうしようもなく辛い夏休み


心の中で順子の野辺送りした日
透きとおった蒼い空
夏の白い雲と
季節の移りを告げるすじ雲が
目に痛くしみた
雲がゆがんで揺れた
揺れて順子の顔になった

今年も秋がそこまで来ている
私の中の順子は
十六歳のまま

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​春

小さな秋


コバルトブルーに鰯雲
ゆ-らゆら
風に揺れるコスモス
胸キュンのせつなさを
いつまでも
感じさせてくれる花


秋の匂いと優しさを
そおっと
心にスケッチ
可憐な花びらは
うす桃色の雫になって
しっとり
しっとりしみこんで
ハートのキャンバスは
コスモス色で花ざかり

 

いざない

焼けつくような日差しの中に
ほら
昨日より今日
空が高くなっている

寝苦しい夜に
ほら
昨日より今日
虫の声が増えている

ほら
耳を澄ますと
すぐそこに秋の足音が

ただいま
旅から戻った秋が
扉の外に立っている
爽やかな笑顔
毎年のことなのに
うれしい驚き

お月見コンサート
ご一緒しませんか

 

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少しだけでいい

残り一枚になったカレンダー
人の気持を無視して
足早に近づいてくる年の瀬
 

初めがあれば終りが来る
出会いがあれば
別れもある
きのう
よろこびに満ち溢れていたのに
きょう
つらい出来事に遭う


二度と戻らないこの時を
ただ悔いなく・・・・・と
加齢と共に
多くを望まなくなる
今日より明日
少しだけ健やかに
少しだけ豊かに


今年より来年
ほんの少し幸せでいられたら
それでいい

ささやかな希い

魔法のように
夫の手が魚をさばく
肉を切る
色とりどりの野菜が大皿に盛られる
土鍋にだしがフツフツ煮える


寒い夜は寄せ鍋にかぎる
「飲もうか」
「飲もう」
グラスの触れ合うクリスタルな響き
一口のビールが胃の腑にしみる
あなた作る人
私食べる人


こんな夜が時にあったら・・・・・
ささやかな希いは
夢のまた夢
寒の戻りの冷える夜
鍋の食材をせっせと皿に盛る

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​わたし
  
   
ほとけさま   
 
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